Plant-Tech
Project

植物の声が聞こえる庭へ

環境データと観察記録を可視化し、植物の状態と管理行動を結びつける小型箱庭実験

小型箱庭のコンセプトイメージ
現在制作中の小型箱庭をもとに、環境データの計測と観察記録のポイントを示したコンセプトイメージ。

土壌湿度、光、温湿度、画像記録、養護記録を可視化し、植物管理に慣れていない人が「今、何を見るべきか」「次に何をすべきか」を判断しやすくする小型箱庭の実験です。

Overview

プロジェクト概要

庭や植物を持ちたいと思っても、完成後の維持管理には多くの迷いが生まれます。植物が今どのような状態にあるのか、いつ水をやるべきか、弱った後に回復しているのかを判断することは、経験の少ない人にとって簡単ではありません。

プロジェクト概要図

本プロジェクトでは、小型の箱庭を実験対象とし、環境データと観察記録を用いて、植物管理における判断を支援する仕組みを試作しています。データによって植物を直接診断するのではなく、過剰な水やり、乾燥の見落とし、急な強光への復帰など、人の主観的な誤判断を減らすことを目指しています。

プロジェクト種別
Plant-Tech / 環境センシング / データ可視化 / 植物管理支援 / 卒業制作
制作状況
進行中
対象
植物管理に慣れていない人の小型庭・鉢植え管理
主なデータ
土壌湿度 / 光照度 / 空気温湿度 / 画像記録 / 養護記録
使用技術
ESP32 / 土壌湿度センサー / BH1750 / DHT22 / Dashboard
目的
非専門者の養護判断を支援し、庭の維持管理を続けやすくする
Problem

維持管理で起こる判断困難

植物管理に慣れていない人は、植物の状態を見ても、何が起きているのか、次に何をすべきかを判断しにくい。特に、状態判断、行動判断、回復判断、継続管理の 4 つの場面で迷いが生まれます。

01

状態判断

今、植物は安定しているか

02

行動判断

水やり・遮陰・観察のどれを選ぶか

03

回復判断

手入れ後に改善しているか

04

継続管理

記録を続けられるか

植物の声を直接聞くことはできません。だからこそ、環境データ、画像記録、養護ログを組み合わせ、植物が置かれている状況を読み取り、次の行動を考えるための手がかりをつくることが、このプロジェクトの出発点です。

System Concept

観察する・蓄積する・可視化する・判断につなげる

  1. 01

    環境を測る

    土壌湿度、光照度、空気温湿度を測定し、植物が置かれている環境条件を把握する。

  2. 02

    変化を蓄積する

    定点画像と養護記録によって、葉の萎れ、苔の乾き、移植後の変化、人が行った手入れを時系列で残す。

  3. 03

    関係を可視化する

    環境データ、画像、養護記録を重ねて表示し、「環境の変化」「植物の反応」「人の行動」の関係を振り返りやすくする。

  4. 04

    次の行動につなげる

    可視化された記録をもとに、「水をやる」「遮陰する」「様子を見る」など、次に取るべき養護行動を考えやすくする。

Data
Visualization

データ可視化の考え方

センサーで得た数値は、そのままでは養護判断につながりにくい。

本プロジェクトでは、環境データ・定点画像・養護記録を一つの流れとして整理し、植物の変化と人の行動を結びつけて振り返れるようにする。

01 INPUT

箱庭から取得するデータ

  • 土壌湿度 ×2
    • 湿潤エリア
    • 乾燥エリア
  • 光照度
  • 空気温湿度
  • 定点画像
  • 養護記録
02 VISUALIZE

Dashboard で整理する

時系列で重ねて振り返り、次の手がかりにつなげる。

03 SUPPORT

養護判断につなげる

  • 水やり
  • 遮陰
  • 観察継続
  • 回復確認

必要な場所だけに介入する。

環境データ・定点画像・養護記録を一週間単位で重ねて確認し、状態の把握と養護判断につなげるための、週次ダッシュボード案です。

Dashboard Concept Dashboard プロトタイプ
Use Scenarios

植物の状態を読む 4 つの場面

  1. 01

    植え付け後、適応しているか

    移植後の葉の萎れ、土壌湿度の安定、強光や高温による負荷を見ながら、適応期か安定期かを判断する。

  2. 02

    水をやるべきか

    土壌湿度の現在値、乾き方、前回の水やり、光や温湿度を組み合わせ、日数ではなく状態にもとづいて判断する。

  3. 03

    枯れの原因を考える

    葉が枯れたとき、すぐに水不足と決めつけず、過湿、乾燥、強光など複数の可能性を記録から確認する。

  4. 04

    回復しているか

    弱った後の画像変化、湿度の波、光環境を確認し、日なたに戻すか、遮陰を続けるかを段階的に判断する。

Prototype

小型箱庭とセンサー配置

箱庭内には、湿潤エリアと乾燥エリアを設け、異なる環境条件を比較しながら観察できる構成としています。各所に配置したセンサーで、土壌湿度・光照度・空気温湿度を記録し、植物の状態把握と養護判断を支援します。

管理方法は一律の自動灌水ではなく、エリアごとの状態に応じて、自動補水と手動管理を使い分ける試作です。

Layer 01

箱庭構成

湿潤エリアと乾燥エリアを分け、植物ごとの水分条件や管理差を観察できるように構成した。

箱庭構成図
箱庭構成図。湿潤エリアと乾燥エリアを分け、植物の性質に応じた管理差を観察できるように計画した。
Layer 02

センサー・自動灌水構成

土壌湿度、光照度、空気温湿度、水位、水温を取得し、ESP32 を中心に自動補水と記録につなげる構成とした。

センサー・自動灌水構成図
センサー・自動灌水構成図。ESP32 を中心に、各種センサーと自動給水ポンプを接続する。
Data

判断に使うデータ

土壌湿度
湿潤エリアと乾燥エリアの水分状態を比較し、水やり判断の基礎とする。
光照度
西日の強さや遮陰の必要性を判断するために記録する。
空気温湿度
蒸散負荷や高温ストレスの手がかりとして用いる。
画像記録
葉の萎れ、色の変化、苔の乾きなどを時系列で確認する。
養護記録
水やり、遮陰、植え替えなど、人が行った管理行動を残す。
Current Status

現在の進行状況

小型箱庭の構成、植物選定、センサー構成、記録方法の整理を並行して進めています。

現段階では、実装そのものよりも、どのような判断を支援するのか、そのために何を記録・可視化するのかを明確にすることに重点を置いています。

Progress Snapshot

構想整理 箱庭設計 センサー構成 記録設計 可視化試作
完了 進行中 検討・実装中 準備中 次段階

Current Focus

湿潤エリアと乾燥エリアをもつ箱庭構成の整理と、センサー配置の検討を進めている。

Next Step

定点画像・養護ログ・環境データの記録を始め、判断支援のための可視化画面を試作する。

Outcomes

このプロジェクトで示したこと

Key Takeaways

  1. 01植物管理の課題を、利用者の判断困難として整理する力
  2. 02植物・空間・センサーを組み合わせて小さな実験環境を設計する力
  3. 03土壌湿度、光、温湿度、画像記録を養護判断に結びつける視点
  4. 04自動化だけでなく、人が続けやすい管理支援として設計する姿勢
  5. 05進行中の制作を観察・記録しながら改善していく力
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